オノマトペで楽しむ三浦綾子(115)“ すっ”

さ・ざ・しゃ・じゃ行

ほんとうの母は、祖母の言ったように、自分を生んで二時間で死んでしまったような気がした。
信夫は菊と待子を半々に見ていたが、すっと立ちあがると台所にはいった。
だが、どこに仏壇の膳があるのかわからない。
祖母のトセは、信夫が台所にみだりにはいることを、きびしく禁じていた。

三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]8788より


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