オノマトペで楽しむ三浦綾子(117)“ どっ”

た・だ・ちゃ行

「一体どうしました?」
菊が顔をのぞきこんだ。
信夫は顔をそむけて菊のそばをすりぬけ、仏間にかけこんだ。
仏壇の前に坐ると、何か自分でもわからぬ悲しみがドッと胸に溢れた。
祖母がかわいそうなのか、自分がかわいそうなのか信夫にもわからない。
ただ、涙が次から次と頰を伝わった。

三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]101102より


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