は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(125)“ぼーっ”“ぺこり”

二人は木からおりると、かけ足で縁側にもどって行った。菊を見ると、吉川はぼうっと耳まであかくなって、ぺこりと頭を下げた。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]173より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(122)“ぶらぶら”

「ふうん」吉川は木の枝にまたがって足をぶらぶらさせながら、そう答えただけだった。喜んでくれるかと思っていた信夫は拍子ぬけした。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]156、157より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(116)“ ぽたり”

「信夫さん」菊の呼ぶ声がした。信夫はだまってうつむいた。ふいにポタリと涙がこぼれた。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]95、96より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(114)“ ふっ”

自分だけが母の子でないような、ひがみすら感じた。(いいよ。ぼくはおばあさまがまもっていてくれるから)信夫はふっとそう思って慰められた。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]75、76、77より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(113)“ ふっ”

(お祈りなんか、なきゃいいのに)食事時が近づくと、信夫はふっとそう思って侘しくなることがあった。そして、きょうはわけても寂しかったのである。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]68、69より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(110)“ ぺこり”

「こんにちは」信夫がこたえて、ぺこりとおじぎをすると、ふじ子は急にはにかんで母の肩にかくれるようにした。 三浦綾子 『塩狩峠』[かくれんぼ]47、48より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(97)“ ぼつぼつ”

夕食の時になって、雨がぼつぼつ降りだしていたが、七時をすぎたころには、雨に風をまじえていた。「おかあさま、ぼくこれから学校に行ってもいい?」 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]144、145より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(95)“ ひそひそ”

もう汗ばむぐらい暑いことがあって、校庭の桜が満開だった。四年生になった信夫は級長になった。先生の仕事を手伝い、少しおくれて学校を出ると、一番大きな桜の木の下で、同級生が十人ほどかたまって何かひそひそと話し合っていた。信夫が近づくと、みんなは...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(94)“ はっ”

カードを手にとった信夫は、一目見てハッとした。それは今まで見たこともない、きれいな色刷りの絵だが、そこにえがかれているものは、むごたらしいものだった。両手両足を釘にうたれ、その脇腹から血を流している十字架の上のやせたキリストがいた。信夫はし...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(93)“ぼんやり”

菊と待子が出て行くと、貞行は火鉢に手をかざして本を読みはじめた。信夫は凧でもあげに外に出ようと思ったが、妙に気がのらない。仕方なく本を読んでいる貞行のそばでぼんやりとしていた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]66より 〈著作物の使用について...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(89)“ひっそり”

が、恵理子の立つ、川一つ隔てたこの道には、いま、車はおろか、人影もない。川に向かって、小ぎれいな住宅の、赤や青の屋根屋根が、途切れ勝ちにひっそりと並んでいるばかりだ。川を境に、静と動の世界がある。それが恵理子の心を惹く。 三浦綾子 『果て遠...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(88)“はっ”“じっ”

夕食の時、信夫は箸をとろうとして、ハッとした。貞行も菊も待子も、じっと頭をたれている。菊が祈りはじめた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]48より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(87)“ぼんやり”“ちらり”

夕方になって父の貞行が帰ってきた。待子は、いつか道で会った時のように、大手をひろげて貞行の腰にまつわりついた。信夫は、おかえりなさいとあいさつすることも忘れて、ぼんやりとそれを眺めていた。貞行が、ちらりとその信夫をみて、肩をたたいた。 三浦...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(86)“びっくり”

菊にきかれて、信夫はだまって箸をつけた。きらいも好きもない。食べたことがないのだからと、信夫は箸の先にいらだたしいような思いをこめて、卵焼きをつついた。一口ほおばって、信夫はびっくりした。こんなおいしいものが、この世にあったのかとおどろいた...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(85)“ふっ”

信夫は両手を組んで、祈っている母と待子をだまってみつめていた。祈り終わると、待子が大きな声で、「アーメン」と言った。ふっと、信夫は淋しくなった。自分だけが除け者にされたような気がした。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]33、34、35、36よ...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(84)“びっくり”

「いただきます」と箸をとった時、待子がびっくりしたように言った。「あら、おにいさん。お祈りをしないの」 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]27、28、29より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(82)“ふっくら”

「おにいさん。待子、知らなかったの。ねえ、待子、あねさま人形を持っているの。遊びましょうよ」と信夫の手をひっぱった。そのふっくらとした小さな手の感触が、妙にくすぐったくこころよかった。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]17、18より 〈著作物...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(81)“ぺこん”

「あら、信夫さん。おかえりなさい」菊が玄関から姿をあらわした。信夫は何となくあかくなって、ぺこんとおじぎをした。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]11、12より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営す...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(69)“ぶるぶる”

「お怒りは、ごもっともですが、そんなにお怒りになっては、お体にさわります」貞行の声は落ちついていた。それがトセの激怒を買った。トセの体がぶるぶるとふるえた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]165、166より 〈著作物の使用について〉三浦綾子...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(61)“ぱっ”

その時、横の小路から五、六歳の色白の女の子がかけてきた。(かわいい女の子だな)と、信夫が思ったとき、その子が貞行をみて、パッと顔を輝かせた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]57、58、59より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(58)“ぽん”

「これは、これは」貞行は苦笑して、キセルの灰をぽんと落とした。「どうだ、信夫。おとうさまと菊人形を見に行こうか」貞行はそういって立ちあがった。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]30、31、32、33より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(54)“ぴたり”“おろおろ”

そう言うや否や、貞行はピタリと両手をついて、おろおろしている六さんと虎雄に向かって深く頭を垂れた。そして、そのまま顔を上げることもしなかった。その父の姿は信夫の胸に深くきざまれて、一生忘れることができなかった。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]1...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(51)“ひりひり”

「信夫! 虎雄君の指は何本ある?」「五本です」殴られたほおがまだひりひりと痛んだ。「では、信夫の指は何本か? 六本あるとでもいうのか」 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]169、170、171、172より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(43)“ぽかん”

「お前がおれをつき落としたなんて、だれにも言うな!」信夫は命令するように、口早に言った。虎雄はポカンとして信夫をみた。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]121、122より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(42)“ぴりり”

「空の向こうに行かなきゃ、わかるわけがないや」信夫は利かん気に眉をピリリとあげた。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]89、90より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(36)“ぴたり”

祖母はそういって、信夫のそばにぴたりと坐った。祖母がひざをくずした姿を、信夫は一度もみたことがない。だから女はみんなこうして坐るものと信夫は思っていた。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]20より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(28)“げっ”“ぽろぽろ”

信夫は口の中に指をさし入れて、のどちんこにさわろうとしてゲッと吐きそうになった。すると目に涙がにじんだかと思うと、涙がポロポロとこぼれてしまった。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]14より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(11)“ふっ”、“きりっ”

首をすくめながら、清志はふっと母を思い出した。母も痛いほどよく首をこすってくれたものだった。清志はまた泣きたくなった。しかし、きりっと口を一文字に閉じて、清志は窓から外を見た。 三浦綾子 『奈落の声』[三]より 〈著作物の使用について〉三浦...